2010年8月28日土曜日

国を信じて命を捨てた人の気持ち分かりますか?

夏の縁側で亜紀子の父はうちわを使いながら道行く人と挨拶を交わしていた。
そこへ、斜め前の家の二男、井上勇が航空兵の正装でやってきた。
「光義さん、決めたよ。明日、出征だ。今日中に親しい所だけ挨拶まわりをしておこうと思って。
光義さん、国家の一大事のこの時、第一線の戦場で敵と戦うのはほまれだと思うとる。
そう思うだろう、光義さん」

光義は娘・亜紀子の盆の上に乗せられたカキ氷を手渡されながら勇の話を聞いた。
亜紀子は小学三年生。
意味がよく分からなかった。
黙って父の横で自分のカキ氷をスプーンですくいながら聞いていた。

「だがのお、勇君よ、お前兄貴も戦場に行ってしまって便りもろくろく来ないのに、お前が又航空兵になって家を出て行ってしまったら親父やお袋の事、どうするんだ」

「いや、親父も賛成なんだ。
お袋は泣いてばかりいるけれど、仕方ない」

「勇よ、航空隊に入るのはいいけれど、絶対に生きて帰ってこいよ。捕虜になってもいいから。
生きて帰ってこなかったらお前は、大きな親不幸者だよ。」

勇は顔いっぱいの笑顔の目でこう言った。

「光義さんな、例え戦死したとしても。靖国神社に神様として祭られるんだよ。そして、日本中の人から手を合わせて拝んでもらえる。
天皇陛下にも拝んでもらえる。
普通の人間が神社に祭られることなんて、絶対無いもの。
みんなと会う度に云ってるんだ。
俺とお前は戦友だ。
同じ死ぬなら国の為。
靖国神社で逢う日まで、と」

光義は心情の優しい男で5人の子供と妻、そして老父母がある、
一番の下の息子は生まれたばかり。
横に座っている亜紀子の方に顔を向けながら
「なあ、亜紀子。死んでしまったらもう駄目だよな」
と云った。
亜紀子は
「勇兄ちゃん、死んだらいかん。神様にならんでいいから、生きて帰って来て」
と泣きながら勇の上着を握りしめた。
「亜紀ちゃん、分かった分かった。亜紀ちゃんも、もう少し大きくなったら俺の気持ちが分かるよ。日本は今大変な戦争の真っ盛りなんだ。
亜紀ちゃん元気でな。
光義さん、みんなによろしく云うといてな」
では、行ってまいりますと右手で挙手をして立ち去った。

戦争の事は四国の田舎町でも、刻々と厳しさを増していた。
隣のおばさんが、波打ち際で
「なぁ、亜紀ちゃん。私はお腹の中に子供が出来てるけど、この子を産んで幸になるんだろうか。
何か聞くところによると一億総玉砕とかお腹の子供も生んでもすぐ殺されるなら生むのは止めようかと思うんだけど)
と聞かれたけれど、亜紀子は何とも返事が出来ず、ただ世の中が暗く恐ろしい方へ向かっているのだなと身体がワナワナと震えだした。
勇の時も隣のおばさんの話の時も亜紀子は、それほど恐ろしいとも思わなかった。
海も山も昔と変わらぬこの海岸の町では。
しかし刻々と戦争の恐怖は亜紀子の身にせまっていた。

昭和17年・11月
亜紀子の父に召集令状が届き10日間位の間に父は佐世保海軍へ入隊して行った。
母の兄弟も?親類縁者も5人の子供と老父母とそして、女の手には出来ない漁業という家業を残して出征してゆく事に涙も出ない悲しみが襲ってきた。
そして2年後、フィリピンの負け戦の時、ルソン島で昭和20年6月18日に戦病死(のたれ死に)。
勇兄ちゃんは前年、名誉の戦死。
公報が届いたのは亜紀子が女学校一年生の夏の初め。
祖父は戦争が終わって光義が帰って来たら一緒に飲むといって陰膳の前に清酒を2本置いて待っていた。
終戦は20年8月15日
その前に長崎と広島の原爆投下があった。
そして3月には首都・東京は空襲でほどんど丸焼けになった。
首都がこれほどの惨状に会った時に、なぜ白旗をあげてくれなかったのかと亜紀子は悔し涙にくれた。

そして勇兄ちゃんがあれほど靖国神社を期待していたのに天皇はおろか総理大臣すら参ってはくれないではないか。
亜紀子は思った。
「勇兄ちゃんの馬鹿、今参拝してるのは遺族だけではないか。敗戦の日8月15日ですら参ってくれないではないか。
国民は幼いから、情報が乏しいから、そして純粋だから国の言いなりになってしまう。

長々と靖国の事を書いたけど今この瞬間にも似たような事が起きていると77歳になった私は思う。
一冊でなく、数多くの昭和史の本をくまなく読めば様々な過去の事は分かる。
それから推察してみると今この瞬間だって、国民は本当の事を知らないかも分からない。
国家を動かす総理になれる程の器のある人はいるんだろうか。
本当の事は報道されているのだろうか。
議員の数を減らすというのは一体いつ実行するのか。議員の才費を減らすというのもいつ行われるのですか?
少なくとも総理その他 大臣、国会議員は国民を犠牲にしない政治をやってほしい。
身銭を切ってでも国家国民のためにやるのが当然ではないでしょうか。
純粋・真っ白な人に総理になってほしい。
金だとか利益だとか疑われてるだけでも、火のない所に煙はたたない。
この日本国家を持ち上げる力、力量、そして国家を愛する国民を愛する暖かな人に総理大臣になってほしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おすすめ書籍のご案内











「緊急提言!デジタル教育は日本を滅ぼす
 便利なことが人間を豊かにすることではない!」
田原総一朗/著

出版社名 ポプラ社
税込価格 1,470円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












「論戦 2010」
日本を愛すればこそ、警鐘を鳴らす
櫻井よしこ/著

出版社名 ダイヤモンド社
税込価格 1,500円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











「ウエットな資本主義」
日経プレミアシリーズ 079
鎌田實/著


出版社名 日本経済新聞出版社
税込価格 819円

-----------------------------------
イセザキ書房
〒231-0055
神奈川県横浜市中区末吉町1-23
TEL: 045-261-3308
FAX: 045-261-3309
www.isezaki-book.com
お問い合わせ・ご注文フォーム
にほんブログ村 本ブログ 出版社・書店へ
イセザキ書房オンラインショップ

2010年8月21日土曜日

日本には素晴らしい文化がある

世の中が急速に変化している。
地球時代と云うべきか、通称グローバル化と云われて久しい。
昭和は終わった。
平成になって、もう20年余。
22歳以下の人間は皆、平成人になった。
そして65歳以下の人は皆、戦争未体験者ばかり。
肉親を戦争で失った人も多いので話としては聞いているだろう。
又、本を読んで当時を、その人なりに想像してもいるだろう。
日本国内の人口が減少傾向にある今、外国への商売の巾と拡げたり、拠点を設けたりするのも当然だと思う。私のような零細小売店の者には想像もできないような世界中を地盤とする企業が増えてゆくのも時の成り行きだと思う。

近頃、外地へ出る大企業が言葉の壁をなくす為に英語中心になって来たようだ。
社内の私語もすべて英語にするという話らしい。

一寸待って下さい
たしかにビジネス上は英語が一番だと思いだす。
そして堪能な語学がビジネスはスムーズに運ばれてゆくでしょう。
当然です。
でも、その為には24時間(大げさに云うと)英語ばかりしか話さないとすると、(言葉は使わなくなると忘れるものですから、)日本語の細やかな表現が頭の中から薄らいでしまうと思います。日本語はとても繊細です・

そうでなくとも現在の企業戦士世代の人は概して日本語の語彙が貧弱な世代でもある。
それは。彼らのせいではなく当時(今も少し続いているが)の教育制度のよってなさしめた事だと私は思っている。
ゆとり教育だゆなんて、子供の育つ過程の学校生活の中にゆとりなど必要だと私は思わない。
現実の競争社会に突入すべく必死の学び体験の時代だと思う。
そして、世の中、総中流社会とか云ってる中で育った人達である。

この世代の人達を英語づけにしたら、日本の文化は多分忘れてしまうだろう。
私はそれが恐ろしい。
経済一点張りの競争社会の中で、それこそ日本文化(言葉は文化である)を忘れるなと云っても無理だと私は思う。
日本は戦争には負けたけど、日本文化が亡びた訳ではない。
日本にしかない素晴らしい文化の数々を世界の人々に観てほしい。
体験してほしい。日本の誇りにしたい。
そんな事を考えていると英語づけの言葉の生活は私は日本の国家にとっても、その本人にとっても大きなマイナスだと思っている。

みんな、みんな日本の国を大切にしましょう。
日本国民のために力をつくしましょう。
自分本位ではなく大きな心を持ちましょう。

笑いましょう。大きな声で。
有難うを繰り返しましょう。
生かされていることへの感謝をこめて・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

オススメ紙芝居の御紹介








宮沢賢治童話名作集

「セロひきのゴーシュ」
堀尾 青史 脚本/池田 仙三郎 画

ゴーシュはセロの音があわないと楽長にいわれ
一人水車小屋に帰って練習することにしました。
すると、毎晩動物があらわれて…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








「じょうず じょうず」
なとり ちづ
脚本/おおとも やすお 絵

ワンワンがあるいてきてたっちした。
ニャアニャもたっちできた。じょうずじょうず。
ともちゃんは、じょうずにたっちできるかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おすすめ本の御紹介











「世界一周旅行をすると
10万円貯まる本」
1260円(税込)
株式会社テンヨー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










「500円硬貨で全身健康旅行すると
10万円貯まる本」
1260円(税込)
株式会社テンヨー

・こんな楽しい本も出ています。
是非お試し下さい。

-----------------------------------
イセザキ書房
〒231-0055
神奈川県横浜市中区末吉町1-23
TEL: 045-261-3308
FAX: 045-261-3309
www.isezaki-book.com
お問い合わせ・ご注文フォーム
にほんブログ村 本ブログ 出版社・書店へ
イセザキ書房オンラインショップ

2010年8月14日土曜日

八月は涙月  

今年の夏は異常に暑い。この暑さの中で涙をこぼさねばならない日が続く。
先ず 広島原爆投下の日、続いて長崎原爆投下の日、『この子を残して)原子病の永井医師が2人の
子供に残した本を感動して読んだのは中学生の時だった。
そして、『東京発大阪行き日航123便がレーダーから消えた) という歴史に残るファックスが全国の
報導機関に流された、日航ジャンボ機墜落事故から丸25年。御巣鷹山の涙。

忘れもしないその日 三光汽船が倒れた。本来ならトップ記事になるような事件だが、524人も乗っていた日航機の事故には及ばず三光汽船の記事は小さな記事で終わった。当店も少々売掛金があったので部長さんが来店され(ご和算にしてほしい)と云われた。その時私は夫の食道がんが発見し
慶友病院へ入院したばかり。三光汽船に(全部無しにして下さい)と言いきった。
イセザキ書房の奥さんは度胸者だと云われたらしいが私はそれどころではない状況下にあったのだ。

そして8月15日敗戦の日(私は終戦記念日なんてやさしい言葉では表したくない)
戦争に敗れた日として、年追うごとに様々な本を読んでゆけばゆくほど、負けるべくしてまけた日をきれいごとでは言いたくないと云うのが本心である。
私は毎年8月15日は店を休みにして神社にお参りする。
緑の木々の中で手をあわせ 今生かされている事に心から感謝する。

私は妹2人弟2人の5人の戦争遺児である。雑誌も テレビも 生き残って帰国した人の話 戦争の時のフイルムがこれでもかと云わぬばかりに目に入ってくる。
今まで語れなかったことも。
それが8月と云う月なんだ。

私には広島という土地は原爆問題だけでなく個人的にも大きな意味をもっている。
父は召集兵として佐世保に入隊し最後に外地に出される前に広島にはいった。
そのとき今から思えば最後の面会に行った。弁当を沢山持って 母 祖母 妹 弟 達と。
翌日父の乗る列車と反対側のホームでわかれをすることになった。
父は手を振りながら涙をぬぐっていた。私達も 泣きながら見送った。

そしてそれが今生の別れとなり、20年6月にルソン島で戦病死 つまり 野垂れ死に。
なぜも少し早く終わらせてくれなかったのか、悔しい 悔しい。
なぜこんな戦争をはじめたのか。幾たび思った事か。

1冊1冊 本を読めば読むほど色々な事が分かって来た。
でも私はここには書けない。一生大きな 恨み を抱えたまま終えるだろう。

        そう  まさしく 8月 は 涙月

政治家 他 トップの皆様にお願い致します。
文藝春秋 中央公論 その他の8月号を読んで下さい。
違った形で 過ちを繰り返さないために。
日本国を動かす力のある方は しっかり 本を読んで下さい。



イセザキ書房
〒231-0055 神奈川県横浜市中区末吉町1-23
TEL: 045-261-3308
FAX: 045-261-3309
http://www.isezaki-book.com/
お問い合わせ・ご注文フォーム
にほんブログ村 本ブログ 出版社・書店へ
イセザキ書房オンラインショップ


 

2010年8月7日土曜日

東南アジアのハブ港を日本にもってこよう

前原国土交通相が(日本にハブ港を作る。阪神港 と 京浜港 にアジアの港の拠点を造り、取扱量をふやしてゆかねばならない)仕事をしながらテレビで聞いた。
私は半世紀以上に亘って日本の外航船へ本を納入する仕事をしてきた関係で、港の動静はピリピリと感じていた。私が横浜の地で書店を開店したのは昭和31年,1月。
外航船舶へ本を納入し始めたのは昭和33年頃から。

センターピア、サウスピアが中心であった。ほどなくして、山下埠頭が出来、更に本牧埠頭へと拡がって行った。造船所も三菱重工、そして石川島ハリマ重工から新しい船が次々と?出港して行った姿は私は一生忘れられない。

当時の日本人はみんな希望にもえていた。
そして私も未だ20代の若さであった。
海に向かって立ってみて「この海は世界中につながっている、その海で航海する船にイセザキ書房がいれた本が船と共に世界中に運ばれていると思うと未来は果てしなく拡がり希望は体いっぱいにあふれた。
日本は島国です。
どこへ行くにも海を渡らねばならない。
且つ、資源らしいものはほとんどない。
輸入に頼らねば生きてゆけない。
港はその入り口。港がしっかりしていなければ物の出入りが不自由である。

いつの頃からかふと気がついた。
直接船へ納入するチャンスが激減してきた。
そして今は集荷業者が荷物をまとめて香港だ、上海だ、シンガポールへと送っている。
なぜ、横浜、東京へ船が来ないのか?
人の話によれば、時間制限がきつくかつコストが高いんだと聞いた。
世界を相手にして競争する時代に負の要素ばかりでは負けるのは当然。
なぜ国際競争に勝てる方策をとらないのか。

私は先日の予算委員会のTV中継の中ではっきりとは分からなかったが、「日・韓国・中国の海外留学生の数が日本が一番少ない、ある程度の金銭面の補填をしてもっと、もっと外国へ若い者を学ばせに送るべきではないか」こんな質問だったように覚えてる。
私は経済面だけでないと思う。
いつからだろう、若い人達が学ぶ事をしなくなっていると感じている。
直接関係なかったので、はっきりした年代は覚えていないけど、ゆとり教育というものが取り入れられてから、日本人はレベルを落としてしまった。
競争の原理を学校生活から抜かしてしまった頃だと思う。
その年代の人達が社会人になり、父となり母となる時代になった。
小さな子供というものは、親が体罰を与えてでも教育するのが一番効果がある。
教育するというより甘やかしてしまっては優秀な人間は育たない。
一体誰なんだ、ゆとり教育なんて取り入れたのは。私は たるみ教育と云いたい。

景気の良さに甘えてしまい、一応、総中流階級だとか云ってる間に世の中は変わってしまった。
気が付いてみると競争相手はずっと先を走ってるではないか。
そして国の中は手がつけられない程の荒れ放題。
人間は一生競争の中を走っているんです。
学校の成績はシビアにつけるべきです。
そして子供達に希望と競争心(良い意味)を植え付けるべきです。

話は本論に戻って港の規制とかコストはどこかで誰かが儲けているんです。
本当に日本の国の事を想うなら少なくとも競争相手に負けないだけの犠牲を我々が負担すべきだと思う。何でもかんでも国が出せ、国が出せと云っても国には余裕がないんだから。(どこかに隠されているのかも分からないが私程度の人間には分からない)
先ず、議員の数を減らすとか一人当たりの報酬を下げるとか国会議員として選ばれたのなら、みずから範を示してほしい。
そうすれば国民は必ずついて行きます。
国民へ愛情を持ちしっかり理解をさせてリーダーシップの発揮できるトップがほしいです。
東南アジアの雄になるには資源のない日本人は知恵を出すしかありません。
そしてお互いに愛情を持ちましょう。

色々問題はあるようだけど、一日も早く日本の港が東アジアのハブ港になってくてる時を祈ります。
国土公道相、約束守って下さいね。
議員の皆様はお忙しいし、御立派でいらっしゃるけれど、本を読む事を忘れないで下さい。
本は色々な意見があり色々な国民の事情が分かります。
一か月10冊位は単行本読んで下さい。お願い致します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小物のご紹介
















リップミラー(口紅ケース)
1050円(税込)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












音波電動歯ブラシ
ポケットDoltz(ドルツ)
4800円(税込)
↑すごく売れていて生産が追い付かないらしいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

イセザキ書房にて販売しております。
ぜひお立ち寄り下さい。

-----------------------------------
イセザキ書房
〒231-0055 神奈川県横浜市中区末吉町1-23
TEL: 045-261-3308
FAX: 045-261-3309
www.isezaki-book.com
お問い合わせ・ご注文フォーム
にほんブログ村 本ブログ 出版社・書店へ
イセザキ書房オンラインショップ